分布容積

分布容積

#souyakuAC2024

古い論文ですがPfizer社による分布容積VdのPerspective。Vdは、半減期や投与頻度の要因となる重要な動態パラメータである。塩基性化合物は大きくなり酸性化合物は小さくなる。疎水性の影響も受けるが、中外の環状ペプチドLUNA18は疎水性アミノ酸で構成されており非常に高いcLogPにもかかわらず、Vssはそこそこ(0.96~2.6 L/kg)しかない。

中分子クラスになると分子サイズの影響も受けるのか。

 

聖文字は“M”

分布容積は化合物の組織への移行性を示す指標です。

あくまで目安ですが以下のイメージと思います。

 

Volume of Distribution in Drug Design

J. Med. Chem. 2015, 58, 5691–5698.

https://doi.org/10.1021/acs.jmedchem.5b00201.

  • 分布容積Vd (volume of distribution)は、中心コンパートメントの分布容積 や定常状態の分布容積、終末相の分布容積があるが、一般的に定常状態の分布容積Vssが使用される。
  • Vssは血漿中フリー体率に依存するため、タンパク結合率が高いとVssは低くなる。
  • Vssの最も大きな決定要因は酸性/塩基性である。細胞のリン脂質膜との相互作用に影響する。
    • 塩基性化合物】塩基性官能基がリン脂質膜の負電荷と相互作用するためVssは高くなる。疎水性の影響も受ける。
    • 【中性化合物】 Vssは 疎水性に依存する。
    • 【酸性化合物】 酸性官能基が血漿アルブミンと相互作用してタンパク結合率が高くなるためVssは低くなる。疎水性の影響も受ける。フリー体率で補正すると塩基性・中性化合物と大差ない。(そうか?)

  • 塩基性官能基を付与してVssを上げると半減期t1/2が延びる。
  • 疎水性増加でもVdを上げられるが、クリアランスも上がったら逆効果。

  • 塩基性官能基を付与してVssを上げて半減期t1/2が延びると投与頻度を減らせるかも。

 

J. Med. Chem. 2018, 61, 6501–6517.

https://doi.org/10.1021/acs.jmedchem.8b00741.

 

J. Am. Chem. Soc. 2023, 145, 24035–24051.

https://doi.org/10.1021/jacs.3c07145.

  • 中外製薬の環状ペプチドLUNA18は疎水性アミノ酸で構成されているためcLogPが非常に高いにもかかわらず、マウスやラットやイヌ、サルにおけるVssはそこそこ(0.96~6 L/kg)しかなかった。
    • 中分子クラスになると分子サイズの影響も受けるのか。

そもそも塩基性化合物のVdが高くなる要因が、リン脂質膜の負電荷との相互作用という細胞膜透過ペプチド (cell-penetrating peptide, CPP)のポリアルギニンと同様の理由なので、細胞膜透過性も影響あるのだろう。そして塩基性アミノ酸を中外さんの環状ペプチドに組み込んだらVdは上がるだろうか。

いやぁ、メドケムって本当にいいものですね。