2023-01-01から1年間の記事一覧

阻害剤を分解剤に変える

阻害剤を分解剤に変える #souyakuAC2023 Novartis社とカリフォルニア大学バークレー校(UCB)のダニエル K. ノムラ教授の共同研究。標的タンパクリガンド(ここでは主に阻害剤)の溶媒露出部位にフマル酸誘導体(3-ベンゾイルアクリルアミド)を付けると標的タ…

マジックメチルを狙って入れる_その2

マジックメチルを狙って入れる_その2 #souyakuAC2023 今回のメチル基導入は、活性向上に寄与していないので正確には「マジックメチル」ではないが・・・。魔法のように目的物を単一で取得している観点ではマジックメチルのようだと言いたい。活性や他のプロ…

マジックメチルを狙って入れる_その1

マジックメチルを狙って入れる_その1 #souyakuAC2023 以前に塩基性を立体的に制御する記事を書いたが、 https://azarashi-panda.hatenablog.com/entry/2022/03/03/064117 もちろん活性においても同様である。今回、置換基を導入することで立体配座を制御し…

暗黒大陸を行く(上陸編)

暗黒大陸を行く(上陸編) #souyakuAC2023 前回の記事では、中外製薬が細胞内PPIを標的とした創薬アプローチとして、中分子創薬の一つである環状ペプチドのプラットフォームを構築したと報告した。環状ペプチドは母核が固定されているため、アミノ酸側鎖を変…

暗黒大陸を行く(出航編)

暗黒大陸を行く(出航編) #souyakuAC2023 現在の創薬モダリティの主流と言えば、もちろん低分子と抗体である。しかし、これらで狙うには難しい創薬標的がある。細胞内のタンパク質間相互作用(PPI:Protein-Protein Interaction)である。ヒト細胞内には、…

細胞治療の低分子化

細胞治療の低分子化 近年、ヒトの免疫に着目した癌免疫療法の研究開発が盛んに取り組まれています。ノーベル医学・生理学賞を受賞した本庶佑先生の免疫チェックポイント阻害薬や高額薬価で話題になったキメラ抗原受容体遺伝子改変T細胞(CAR-T)療法(最近は…

吸収させない低分子創薬

吸収させない低分子創薬 低分子創薬が他のモダリティ(抗体医薬や核酸医薬など)に対して有利な点の一つとして、経口投与(経口吸収)が容易である点が挙げられる。しかし、標的分子・対象疾患によっては、経口投与しても体内に吸収されない方が都合がいい場…

核酸医薬の低分子化(タンパク質の翻訳阻害)

核酸医薬の低分子化(タンパク質の翻訳阻害) 近年、新規モダリティとして、標的タンパク質の分解を誘導して無くすPROTACやMolecular Glueが注目されている。一方で、核酸医薬のsiRNAやアンチセンスによって標的タンパク質の翻訳を阻害するアプローチも、標…

ペプチド医薬の低分子化…ではない?part1

ペプチド医薬の低分子化…ではない?part1 #souyakuAC2022 中外製薬がイーライリリー社に導出した非ペプチド型の経口のGLP-1R作動薬LY3502970(OWL833)に関して、プロファイルや相互作用解析を読み解きながら化合物取得の経緯を推理した(あくまで個人的な想…